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子どもが生まれると分かったときの感激は忘れ難い。自分は父親になるための準備など何もしていなかった。しかし、これから生まれる生命のことを考えただけでエネルギーに満ち溢れたのだ。楽しいことはそれまでにもたくさんしていたつもりだった。しかし、身体の中央から湧き出てくるこの喜びは何であろう。
仕事を離れ、身重の妻と北欧を旅していたとき、ふと「これから生まれてくる子ど もと同じように自分も成長し続けたい」と思った。また、身体に変化の起こる妻と長 い時間をともに過ごすという貴重な体験から、生まれてくる子どもとの時間も大切にすべきだという考えが生じた。
かくして、子どもの誕生と同じ年に会社を作ることを決めた。それまでにしてきた 経験をフルに活かして己の成長を図るとともに、子どもとの時間を自らの意思で作れるようになりたいと思ったからだ。
数カ月の準備期間を経て、昨年十一月、世田谷区経堂に「パクチーハウス東京」と いう飲食店をオープンさせた。自分の会社が行う最初の事業として開いたこの場所は、人と人とがあたたかく交流でき、世代を超えた人間関係を築くための仕掛けをたくさん用意していくつもりだ。子連れで気兼ねなく飲食ができる店を目指している。
僕の息子も昼間はいつも店にいる。僕にとってはここはあくまで仕事の場であり、 いつも息子と遊んでいられるわけではないが、懸命に伝い歩きをする姿を横目で見たり、 この場所を訪れる方々に息子を紹介できることは無上の喜びだ。幼いうちから多くの人と触れ合って欲しい。
これから別の事業を展開していくと、息子と過ごす時間は減ってしまうかもしれない。
でも、抱き方も知らない頃から泣き、笑い、叫びながら僕を一人の父親として育ててくれた息子とは常に心を通わせていけると思う。 |